Yarn Project

Yarn over the grassland
Hatamae grassland,
Sendai, Japan

2004/12/8-9


 

2004/12/8-9

畑前草地(仙台市青葉区芋沢)

 

12/7 tue
 羊を飼い、その毛で毛糸をつくって毛糸のインスタレーションを行うというのはどうだろう。おとといの朝日新聞朝刊に、河原の雑草処理に羊を飼っている「アダプト・プログラム」の記事が載っていた。そうした活動と連携してアートをつくることができないだろうか。
 そんなことを考えながら、ひさしぶりに牧草地へ行く(以前の毛糸の展示はこちら)。最後の牧草刈りが終わった後らしい。2時間ほど歩く。

12/8 wed
 牧草地を再び訪れ、毛糸を結ぶ。うねうねとした丘陵地で、アフガニスタンで毛糸を結ぶときのイメージトレーニングにと昨日は写真を撮ったりスケッチしたりしたのだが、やはり実際に毛糸を結んでみたくなり、2時間ほどかけて300メートルほど結ぶ。秋の表情豊かな雲が見守っていた。
 さて、撮影しようという段になって、ちょうどくもり始める。そこで明日までこのままにして帰ることにする。
 夜、すこし雨が降り、強い風が吹いていた。丘の上の毛糸は無事だろうか。

 

 

 

 

 

12/9 thu

 昨日毛糸を結んだ牧草地へ再び向かう。昨日までとうってかわって、ほとんど雲ひとつない快晴である。
 毛糸を結んだところに来てびっくり。毛糸が切られ、見るとかなりずたずたにされている。もしかして現地の方が「なんだこれは!」とか言って怒りにまかせてひきちぎったのだろうかと急いで片づけを始める。街中などでの展示には許可を取るが、こうした郊外の誰の土地かわからない場所では、私は勝手に毛糸を結び、写真を撮影して撤去する。私が毛糸を結んでいるようすをたまたま目にした方は、本当にいったい何をしているのかわからないだろう。説明すると「いろんな人がいるもんですね」とか、「あんまり川を汚さないでください」とか言われたりする(ことわっておくが、私は基本的にすぐ、すべて撤去するから汚すことはない)。
 1時間半ほどかけて撤去する。片づけながら、毛糸が切られているのがほんの一部に過ぎないこと、その切り方が、切り方とも言えないような、要するに人間わざとは思えないような思考によるものに気づき、もしかしたら熊などの動物によるものではないかと思い始める。
 また、毛糸を巻きながら、アフガニスタンでやるとしたら、どう展示しようかとか、それからまさにこの場所でも何かできないだろうかと思う。たとえば仙台市内の小学校や、この近くの地元の小学校の総合学習などの時間に、美術教育としてこの牧草地を訪れ、みんなで毛糸をもって散らばって行く。たとえば100メートルの毛糸を正方形にすれば、1アールがどれだけの大きさであるのかを体感できて、しかもそれはやはりどうしようもなくアートではないか。いっしょに近くの酪農家の方のお話を聞いたりすれば、牧草地を中心とした産業や生態系についてのお勉強にもなってしまう。最後に感想を詩にでもしたら、本当に「総合」学習になるのではないだろうか。そしてそのようすを写真やビデオに撮って、どこかに展示する。この「学習」に使う毛糸が、またこの近くのものであったり、逆に遠くアフガニスタンからのものであったりしたら、またそれで羊つながりの学習にもなっていったり。すこし具体的に考えてみよう。

 

つなぐこと 結ぶこと

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