"www――wind, wound, winding"
「結ぶこと、結ばれること、そしてそれがつづいていくこと」
「LOCO結婚式」にちなんで、「結婚」をテーマにした作品を制作したいと思います。素材は、昨年来取り組んできている毛糸と、LOCOさんにちなんだ紙コップ、そして坂本・アクバル夫妻というニ組の夫婦です。
毛糸は、編むもの、結ぶものとして、結婚そのものや、それによって生まれる血縁関係、それを取り巻く社会、文化といったものを暗示しています。それは選び取られたものである一方、不可避的に結びつけられたもの、しばりつけられ、巻きとられたものでもあります。そうした網の目のような関係性は、インターネット上に生じたサイバー・スペース"www(world
wide web)"の原初的なかたち、あるいは仮想空間に対する実在性としてのそれとしてとらえなおすことができるかもしれません。個人という縦糸と、社会という横糸を、毛糸という実にアナログな素材を用いて提示するというこの試みは、あまりに率直な比喩ではあれ、アナログであるがゆえによりいっそう力強く象徴的であり、素朴であるがゆえにある種得がたい美な存在として、作品化できるのではないかと思います。
この抽象的・象徴的な空間に、私が具体性をもって紹介したいのが、坂本夫妻、そしてアリ・アクバル、タジワール夫妻です。一方は戦乱の国を生き長らえ、他方は平和の国で命を落とすことになった、この二組の夫婦。「結婚式」という、動作として用いられる言葉が、「結婚」という、状態を表わす言葉へと移行して後の夫婦のあり方を紹介することで、結婚式の祝辞、はなむけとしたいと思います。むろん、そこから何か「教訓」のようなものを引き出すための「事例」としてではなく。
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展示のようす
展示までに考えたこと

「グラバコ」
…世界唯一の紙コップアーティストLOCO氏によるアート・パフォーマンス「LOCO結婚式」への「お祝い」として、仙台市中心部の商店街遊歩道に展示される、アートサービスチームGROUND主催のアート・イベント。点在する、積み上げられた白い立方体型のダンボールの中には、それぞれ出展作家による作品が設置されており、訪れた人はそれを開き、中をのぞき見ることによって、その作品を目にすることができる。 |
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