虹色アート御殿
〜通い湯治10か月〜

GOTEN GOTEN 2006 アート湯治祭」への出展プラン
宮城県東鳴子 2006年7月・9月

Yarn Palace
GOTEN GOTEN 2006 Art Festival
in Higashi Naruko Spa, Miyagi pref.
July 2006


 

かつて伊達藩の御用湯が置かれたことから「御殿湯」と呼ばれる東鳴子温泉。「9種の泉質」「ゆめ」「湯めぐり」「現代湯治」「非日常の日常」「放電」といったキーワードから、いくつかの作品プランを考えてみました。 これらをもって毎月、東鳴子を訪れ、お湯につかり、東鳴子について、アートについて町の方と意見を交換していきたいと思います。また、当地で行っている「田んぼ湯治」にも参加を申し込み、展示終了後10月までこの「通い湯治」をつづけてみたいと考えています。題して「通い湯治10か月」。この中で私のプランがさまざまに変更を加えられ、また新たなアイデアを受け入れて、よりよいものへと結実していくことを期待しています。
作品プラン概要  
作品タイトル(展示場所) 内 容
1.ゆめ色の蚊帳"Dreaming Net"( JR陸羽東線「鳴子御殿湯駅」駅舎) 駅舎天井からロープと毛糸からなる蚊帳状のものをつるし、「ゆめ」を書いた短冊をつるす。
2.スパ・ライン"Spa Lines" (江合川河川敷) 江合川に毛糸の「橋」をかける。連携企画も検討。
3.ゆめなわ"Rainbow Rope" (温泉街メインストリート、トライクめぐりスタンプ・ポイントなど) 町一円に毛糸を結び、ゆめの結界をつくる。
4.ゆめもりの湯"Bath in the Dreaming Forest"( 旅館大沼「母里の湯」) 湯につかりながら見上げる毛糸のインスタレーション。毛糸からしたたるしずく。
5.ゆめ田"Dreaming Rice Field" (東鳴子近郊の田) 田んぼ湯治」に参加しながら、草取り後の田にインスタレーションを設置。
6.潟沼賛歌"Homage to Katanuma" (潟沼湖畔) 潟沼湖畔にかかる虹、潟沼から流れ出す大地の恵みたる源泉、潟沼で奏でられる旋律をイメージした毛糸のインスタレーション。

「ゆめ色の蚊帳"Dreaming Net"」
〜虹色の毛糸が御殿湯駅に着く者を迎えます〜

「ゆめ色の蚊帳 "Dreaming Net"」は、鳴子御殿湯駅天井の柱からつるした4本のロープにさまざまな色合いの毛糸を結び、「願いごとプロジェクト2006-2007」で集まって来た願いごとをつるしてつくるインスタレーション作品です。
「ゆめ色」は、東鳴子を横断的にまとめあげ、画期的な企画と実行力によってさまざまな成果を発信している「東鳴子ゆめ会議」の「ゆめ」にちなんだものであるとともに、「非日常の日常」たる「湯治」を「ゆめ」になぞらえ、駅舎につるされた蚊帳を「ゆめ」の地への入口として象徴的に表わそうとの思いから浮かんだものです。「ゆめ色」は視覚としての色だけでなく、そこにつるされたさまざまな「ゆめ=願い」によって概念的にも彩られています。それらはちょうど新暦の七夕と旧暦の七夕にはさまれた期間を想定していることから、七夕の願いを書くようにして、町の方や訪れた方、それぞれの「ゆめ」を短冊にしていただくことで、つくりたいと考えています。

駅天井の柱にロープをかけて、一方の先を4つに分け、この間に毛糸を結んび、短冊をつけていく。ある程度の密度になったらロープのもう一方の端を引くことで、4つに分かれたロープ(蚊帳になる部分)を引き上げる。これを繰り返すことで蚊帳をつくり、最終的には図のように、天井柱部分に4つに別れた先端部分が届くようにする。ロープの端は壁の中途に突き出た柱部分に固定し、駅舎内を人が移動、もしくは駅舎内でコンサートなど行うのに支障のない高さを保つようにする。 短冊に「ゆめ」をあらかじめ書いてもらい、これを集めておく。 設置のみなら1時間程度。ワークショップ形式にして数時間かけて共同制作することもできる。

参考:「クリスマス・ワンダーシップ

「スパ・ライン"Spa Lines"」

日本に11種あるという泉質の実に9種が集中する鳴子温泉郷。私はさまざまな場所に毛糸を結ぶという作品を展開していますが、ここでは温泉から流れ出た湯の流れを9色の毛糸で表現したいと思います。湯を使う風呂が一般的でなく、衛生に関する知識や医療が不十分であった時代には、温泉はけがや病気に驚くべき効能があるありがたい「聖地」であり、寺社の所有する場所も多くあったといいます。それは地中深く、人の目にふれぬ場所を長い間旅した後、ふっとわれわれの前に湧き出た大地の恵みであり、作品ということができます。
私はこれを、同じくこの地を潤し、米どころとしての同地に恵みをもたらしてきた江合川(荒雄川)の上にかけることを思いつきました。豊かな恵みによって、恵みの上にかけられる橋。それがこの作品のコンセプトです。

「ゆめなわ"Rainbow Rope"」

「注連縄(しめなわ)」は、神域と外界とを隔てるための、紙垂をつけた縄であり、祭りのおりなどには、東鳴子の町も一円、この注連縄で結ばれるといいます。私はこのしめなわにも似たいろとりどりの毛糸を「ゆめなわ」と名づけ、これで町を結ぶことで、非日常の日常たる湯治(=ゆめ、湯め)と日常とを隔てるいわば「結界」をつくることを思いつきました。それは「ゆめ色の蚊帳」によって迎えられた湯治客が訪れた「ゆめ」の地であり、「ゆめ」としてのときの流れ・日常を縁取るでしょう。「GOTEN GOTEN アート湯治祭」開催期間中、メインストリートに点在する街灯などを結び、ある程度町一円を囲むようなイメージで毛糸をまわします。が、厳密にループする必要はなく、車などの交通の支障になりかねないところはカットして、「ゆめ」の裂け目を表現します。トライクめぐりのスタンプ・ポイントなどに毛糸を結ぶのもいいでしょう。
「虹」を思わせるこの「ゆめなわ」は、虹のように、ある日突然現れて、いずれ消えてしまうものです(あるいはゆめのように)。しかしそこにこそその美しさがあり、価値があるわけで、町にかかる虹やゆめ(私の毛糸をはじめとしたアート作品ほか)もまた同じように、美しく現われ、はかなく消えていきます。そして虹が再び現れるように、それらもまたいつかまた現れることでしょう。

「ゆめもりの湯」 "Bath in the Dreaming Forest"

旅館大沼「母里の湯」でのインスタレーション

「ゆめ田」 "Dreaming Rice Field"

「田植え湯治」に参加しながら、草取り後の田にインスタレーションを設置。 1〜2日で撤去。

潟沼賛歌"Homage to Katanuma"

9月10日「みんなで楽しむ音楽ワークショップ&ミニコンサートin潟沼」のおり、この「鳴子のへそ」とでもいうべき場所潟沼湖畔に展示するインスタレーション作品を考えました。
その噴火により鳴子温泉郷が生まれることとなった場所であり、今日なお豊かな恵みを与えつづけている「鳴子の原点」ともいえる場所。蒼く澄んだその場所に唯一生息している生き物は、血を吸わない蚊。
私はこの場所にかかる虹をイメージするとともに、ここから流れ出す虹色の源泉を毛糸に重ね合わせて提示したいと思います。また、それは湖畔で奏でられる旋律、音と時間の芸術である音楽を視覚化した譜面にもつながる線であり、もしイメージ図のように湖面へボートをこぎだすことが可能であるなら、それはさらにボートの軌跡、出航の際に投げられる祝いのテープをも喚起するものになるでしょう。

 

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関連リンク

毛糸のインスタレーション yarn works
GOTEN GOTEN アート湯治祭
願いごとプロジェクト2006-2007
なるこファンルーム
 
源泉湯治へのいざない
 
東鳴子温泉観光協会
 
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