リブリッジ・エディット
アーティスト・シェア2004
応募企画

 

「リブリッジ
  ――虹色の橋を毎日かける」

 

 

※ギャラリー「リブリッジ・エディット」での2004年度のアーティストシェア選抜賞に選出されました。

実施期間:2005/3/22-27


「1週間の自由編集空間。」――この言葉から、私はギャラリーを1週間、自由にエディットしつづけるという企画を考えました。
昨年来、私はさまざまな場所で毛糸を結ぶという展示行って来ました(こちら)。それは毛糸という素材と、そこに込められたメッセージを軸にしながら、展示場所の場所性を見出していくという、展示空間とのコラボレートでもありました。
今回、「リブリッジ・エディット」での展示を企画するにあたり、屋内の専用スペースという条件をいかし、期間中毎日、毛糸のインスタレーションを新たにつくり、さらにそれを訪れた人や天候、その日の出来事など、外的要因によって編集していくことで生まれる制作過程および人との関わりをふくめた全体を、私の作品として提示したいと思います。それはとりもなおさず、「リブリッジ」しつづけること、虹色の毛糸のかけ橋をかけつづける、この場所の場所性に根ざした展示になるのではないかと思います。

具体的な展示方法
毎朝ギャラリー・スペースを「無」に戻し、いくつかあげてある展示案のように、毎日新たな展示作業を行っていきます。ギャラリー壁面を「ルーバー」の状態で使用し、毛糸を天井や壁に結びつけていくもので、外光を取り入れるとともに、外部からの鑑賞も可能になるようにします。そして、その日の天候や風、訪れた人、前日見たものや読んだものなどからインスピレーションを受けつつ、その1日かけてその展示を「編集」していきます。訪れた人に参加してもらったり、前日までの展示やほかの場所で行った写真を付け加えていったり、あたたかな季節であれば風を入れ、そうでなければその季節の素材を使った展示をこころみたり。そうして毎日、1週間、「リブリッジ」と「エディット」を行っていくことで、「コミュニティーギャラリー」としてのこの空間の特性を、十二分に発揮させることができればと思います。

 

 

 

毛糸を結ぶわけ
毛糸を結ぶ、というこの一連の展示の出発点となったのは、『SATOKO』という1枚のCDです。それは、89年11月、オウム真理教によって殺害された坂本さとこ都子さんが、生前にのこした短い詩に、その友人であった中村裕二弁護士が加筆、シンガーソングライター国安修二氏によって曲がつけられたものです。

赤い毛糸に だいだい色の毛糸を結びたい
だいだい色の毛糸に レモン色の毛糸を
レモン色の毛糸に 空色の毛糸を結びたい
この街に生きる 一人ひとりの心を結びたいんだ

この曲のそうしたあまりに劇的な背景に、私はかえって紹介されてからも長く聞かずにいました。しかしさるきっかけでこの曲を耳にしたとき、背景となった事件とは別に、それが作品としてしっかりと自立しているというまさにそのことに、驚かされました。できうるならば、私もそうしたものを、アートの領域で表現してみたい、そしてそうした背景を知らずとも、それを見た人に感動を与えうるようなものを作りたい、そうした思いで、毛糸の展示を行っています。

イメージ写真

 

 

幸いなことに、展示を行うたびに、私は毛糸という素材そのもののもつ美しさやおもしろさ――そのやわらかさとシャープさ、ラインと色という単純さのもつ美、風にゆれ、光を吸収して輝く様子、一見ありえないような場所に展示することからくるおもしろみなど――を発見することができ、今後も継続してこれを展示、発展させていきたいと思っています。
この曲を仲立ちとしたネットワークもウェブ上で成立しており、呼びかけに応じて私のもとへ毛糸を送ってくださる方や、展示の様子を楽しみにしてくださる方の存在も、展示を支える力となっています。

 

毛糸を結んでください
両手を広げたほどの長さを切り取り
ほかの毛糸に結んでください

リブリッジ・エディット
仙 台
2004

 

LINK THE YARN.
CUT THE YARN BY LENGTH TO
THE EXTENT THAT YOU EXTEND
YOUR ARMS AND LINK IT
WITH OTHER YARN.

REBRIDGE EDIT
SENDAI
2004

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