東京コンペティション」へのプロポーザル

アート・プロジェクト
丸ビル・フォールズ
 (丸ビルの滝)  

Art Project  "Marunouchi Building Falls"
-Open Interactive Network-

Sep.23-30, 2005
Marunouchi Building, Tokyo
By Atsushi Kadowaki
erigolbun@ybb.ne.jp
http://www.geocities.jp/erigolbun/


2005/8/3
丸ビル周辺を舞台に行われる「東京コンペティション」。プランを出してみることにしました。書類による1次審査の発表は8/15です。

2005/8/15
1次審査は通りました。が、おそらく実施は高い確率でムリなため、プレゼンテーション展示というかたちにしては、ということになり、プランを提示するようなインスタレーションを制作、展示することになりました。
が、いちおう丸ビルには聞いてみようかと思います。

2005/9/18
実際に出展するのはこんな感じになるもよう。しかしあさってには送る予定なのに、まだ半分くらいしかできていない。明日の祝日でがんばろうと思います。

その後
ゼンゼン賞とれませんでした。が、学生時代の後輩たちと飲み会したり、横浜トリエンナーレ見に行ったりと実に楽しい搬入・搬出でした。


丸ビルを落ちる滝、
     そしてそれが消えたあと。

「東京の核心・丸の内から、新しいアートシーンをクリエート」という 本コンペティションの趣旨に対し、私は丸ビル「マルキューブ」でのア ート・プロジェクトを提案したいと思います。そして提案自体を作品と して出展いたします。以下、プロジェクトの概要です。
マルキューブ内東京駅寄りの3・4・5階から、手すりに端を固定した 毛糸玉を1階へ向けて投げ入れるというもので、毛糸や投げる人を募集 し、約50人で「滝=丸ビル・フォールズ」を「制作」します。投げ入れ られた毛糸はもう一方の端も手すりに固定され、一定期間、作品として 展示します。
丸の内のほか大手町、有楽町を含むこの地区の再開発における新たな街 づくりのコンセプトは「オープン・インタラクティヴ・ネットワーク」。 それをハードの面で具体化したものが、丸の内のアトリウム(中庭)・ マルキューブでしょう。仲通りと東京駅とを結び、丸の内全体の歩行者 ネットワークの中心として設計されたこの場所に、アートによる「オー プン・インタラクティヴ・ネットワーク」を創り出すとが、私の提案す るプランです。

 

 

 

プロジェクトの内容と方法

 

1.集める  

毛糸玉(玉)とそれを投げる人を集める。それぞれ、50程度。毛糸を送ること、毛糸を投げることで、このアート・プロジェクトに参加する。
送ること、投げることは、表現することに似ている。伝えること、自分の手をへて他へと渡すこと、内にあるものを外へ出すこと。
毛糸や投げる人で、足りない分に関しては、毛糸はこちらで用意しておき、投げる人に関しては、その場(丸ビル)で希望者を募る。
スタッフを集める。11〜15人程度。当日、毛糸を投げるときに注意事項を伝達したり、危険のないように注意したり、通行する人の誘導をしたりする。また、投げた後、すばやく毛糸を処理する。

2.投げる

毛糸を投げてもらう。50人程度の人に、いっせいに。投げる前に、投げる人や見ている人にお願いをする。投げる人は、となりの人の毛糸とからまらないよう、なるべく遠くに、まっすぐ投げる。下にいる人は、落ちてきた毛糸を投げ上げないよう、そのままにしておいてもらうように。
3・4・5階からいっせいに投げられた毛糸の滝。これをスタッフが1・2・3階で適当な長さに切り、毛糸玉の方は回収。端を2・3階の手すりに結んで  展示作品へと仕立てる。
投げるのに約5分(諸注意含め)。毛糸の処理に1〜2時間程度。ランチタイムとディナータイムの合い間、午後2〜4時くらいを想定。 

3.展示する・撤去する

できた丸の内フォールズを展示する(図ではまざまな色からなっているが、白もしくは青の同系色になる可能性もある)。
いつもはない、あるいはふつうに考えてありえないこの毛糸の滝は、その場を訪れる人の  注意を何らかの意味でひきつけるだろう。そして、連続あるいは継続してこの場を訪れる人にとって、毛糸が撤去されたあとの風景は、設置される前の風景に戻るということでは、もはやないだろう。わずかな間であれ、見えていたものがなくなることによって、以前とは別のものとして空間を感じること。私は物理的なものよりも、そうした体験に興味  がある。ある体験のために、たいへんな労力を払って何かをつくったり、セッティングしたりしながら、しかし体験にとって大切なことは、つくったそのものではなく、その影であったり、その不在や消滅であったりするということ。
毛糸を撤去した後、「丸の内フォールズ」の  カードサイズの写真を手すり付近などにはり、  ここで何が起こったのかを伝えるとともに、  それを訪れた人が持ち帰るのにまかせる。

毛糸を使ったインスタレーション
2003年から、毛糸を使ったインスタレーションを制作しています(詳しくはこちら)。
毛糸を投げることで制作へ参加してもらうようになったのは04年からで、これまでに2度、長野県千曲市の中学校で行われている「とがびプロジェクト」と、同じく長野県小布施町の禅寺でのアート展「境内アート苗市in玄照寺」で行いました。前者は「虹をつくる」、後者は「種をまく」  といった意味が、毛糸を投げる=制作することに込められています。
本プランではこれが、「滝を落とす」という行為に見立てられています。

毛糸を使うようになったきっかけ
私が毛糸を使うようになったのは、オウム真理教による坂本  弁護士一家殺害事件の被害者坂本都子(さとこ)さんが生前に書いたという、毛糸を結ぶようにして街に住む人の心を結びたいという詩と出会い、それを実際にやってみようと思ったのがきっかけです(こちら)。
詩が言わんとしているのは、「実際に」毛糸を街中に結ぼうということではなく、人の心を結ぼうといっているのであって、そこでは毛糸は二次的なもの、比喩的なものとして扱われているわけですが、実際にはそうしたこと、人と人が仲良くやっているという事実よりも、それを何らかの目に見えるモノとして定着させたり、イベント化したりすることの方が重要視されたり、評価されたりするところがあるように思います。
そうした意味で、毛糸はいずれ早いうちに消えてなくなるものです。苦労してつくりあげたとしても、それそのものの存在よりも、それが表現していないものや、その不在や消滅の方が、ずっとおもしろい。二次的なものとしての毛糸、その素材としてのもろさ、はかなさ、そうしたところから、私は毛糸を使っています。

 

毛糸のインスタレーション

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