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ごあいさつ

 

 


©Manami


 日本中の目がそこにそそがれてから3年。それ以前から、そして今も、「国際社会」からいろいろな意味で取り残されてきたこの国を見守りつづけている目があります。
  川崎けい子・中津義人両監督による仕事の何よりすぐれた点は、何よりそれがアフガニスタンを語るのに、アフガニスタンをして語らしめている、ということにあると思います。
  たとえば、「アフガニスタン史」といったタイトルの本に目を通すと、その題名にも関わらず、「アフガニスタンにおけるイギリス史」とか「アフガニスタンにおけるロシア史」と言った方がいいのではないかと首をひねりたくなるものであることが、おうおうにしてあるように思います。そしてこれはアフガニスタンに限らず、特にいわゆる「第三世界」と呼ばれる世界について言えば、ほとんど共通してあてはまることのように思えます。
  しかしこれは何も歴史は異なる地域の相互作用によって成立しており、一国史やある限定された地域について語ること自体が不可能であるとともにナンセンスなのだ、などといったきれいごとで説明できることではなく、いまだに私たちのまわりでは、「第一世界」、いわゆる先進国に視点をおいた記述をすることこそが「世界史」であり、そうした記述を行ったり、読んだりすることに慣れてしまい、何の違和感も疑問もおぼえないからではないでしょうか。
 この川崎・中津両監督による仕事をはじめ、医師、写真家、ジャーナリスト、ボランティアなど、分野を問わず、現地に身を置き、現地からの視点でもってものを語ろうとする活動、そしてマスコミや既存の権威を借りずとも、各地で実行委員会などをつくって行われる写真展やシンポジウム、公開講座、上映会などが、日本各地でさかんに行われつつあるという事実は、一方的で保守的なものにかたよりがちな報道というものに対する、複眼的な視点を私たちに与えてくれるものとして、これからますます必要になっていくのではないかと思います。
  そうした意味でも、今回、今現在も日本各地で上映され、さまざまな反響を呼び起こしているドキュメンタリー『ヤカオランの春 あるアフガン家族の肖像』上映会を、私たち「せんだい上映委員会」の主催により、ここ仙台の地で実現できることは、たいへんな喜びです。

「ヤカオランの春」せんだい上映委員会
門脇篤

 

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