Date Spiral 2

GOTEN GOTEN 2007 アート湯治祭
りくとうアートライン

2007年10月27日〜12月9日
JR陸羽東線有備館駅・ユービック
(宮城県大崎市)


   

宮城県大崎市岩出山は、伊達政宗公が仙台へ移る前の一時期を過ごした場所であり、有備館は現存する最古の藩校といわれています。
その有備館の目の前に立つJR陸羽東線・有備館駅「ユービック」での作品を考えるにあたって、私は有備館と、岩出山や鳴子が位置する豊かな大崎平野をテーマにしようと考えました。

天井からつるされているのは、紙を切り抜いてつくった「椅子」です。あんまり似ていませんが、学校の椅子をイメージし、背もたれには伊達政宗の兜のマークを入れてあります。
椅子ははじめにデザインしたものをもとに、次の椅子を切り抜き、その切り抜いたものをもとに次の椅子を切り抜き…という具合に、ナンバリングしながらつくっていきました。すると段々、最初にデザインしたものとは微妙にちがったものになっていきます。 私は以前から、ひとつの型をもとに、無数の椅子や葉っぱをつくる、という作品をつくっていますが、これはそれとはちがい、毎回次々に「お手本」がかわっていき、数十個もつくると、かなりちがったものになってきました。が、だからといってそれほど変わるわけでもない。そうしてつくった無数の椅子を、最初にデザインしたものを中央にして、渦巻き状につるしていきました。
なぜこうしたものをやろうと思ったかというと、それがどこか「家訓」とか「伝統」とか、あるいは「手習い」とか「学問」とか、そういったものを連想させるように思ったからです。それはもちろん、有備館が伊達家の学問所であったことからきています。次の世代、次の弟子へと受け継がれていく伝統やしきたり、知識といったものは、次々に微妙な変化を含みながらも、しかしおおまかには脱線することなくつづいていきます。
それがいいとか悪いとかいう前に、私はそうしたものをつくってみたいと思いました。そしてそれら無数の紙の椅子の下には、豊かな大崎平野の幸たる白い米と、椅子を切り抜いた後に残った紙片とが置かれています。
タイトルの「DATE SPIRAL U(ダテ・スパイラル・ツー)」は、9月より岩出山・池月にある「あ・ら・伊達な道の駅」の「スパイラル・ホール」をお借りして展示している毛糸のインスタレーション「DATE SPIRAL」(11月中旬まで展示)とシリーズをなすもので、岩出山と伊達家とをテーマにした2作目になります。