プラン
「雲をつくる」

〜小・中学校での総合学習もしくは
美術教育のためのアート・プログラム〜


企画概要

我が国は温暖湿潤の気候に恵まれ、古来より雲にまつわる語いも豊富であり、また、雲をモチーフにした芸術作品も数多く生み出されてきました。本企画は、小中学生とともにこの雲について半年間にわたって調べ、想像し、最終的には実際にヘリウムガスを入れて浮かべられる「雲」を制作、これを町に浮かべるというものです。

・雲について調べる段階では、その現象のメカニズムを自然科学的な面からとらえるとともに、雲がこれまで我が国をはじめ世界ではどのようにとらえられ表象されてきたのか、文化的な面からもとらえていきます。
・雲について想像する段階では、学校や町中などでさまざまな人に雲を描いてもらい、雲のイメージの類似性や相違性に目を向けるとともに、実際にどのような「雲」をつくるか模型制作などを行います。
・雲の実際の制作に関しては、バルーン製作業者とやりとりしながら小中学生とともに発注者として制作に関わり、産業社会のメカニズムを学ぶとともに、実際に作家がつくらないという方法もあるという現代アートの制作手法についても体験します。
・雲を浮かべる段階では、浮かべる場所の選定、許認可の必要性の有無、必要ならばそのための交渉といった現代アートのもつ特殊な活動について実地に体験するとともに、そうした手続きを通して町の人々との協力関係の必要性などを認識するため、実際に作品についての説明や展示の必要性に関するプレゼンテーションを町に対して行う機会をもちます。一方、町からは展示協力者を募り、協働して展示を行っていきます。最終的には自分たちの町の空に上がった雲をながめ、存分に鑑賞するとともに、鑑賞者への作品の説明・解説を行います。
・展示後は、制作した雲を将来的にどのように使っていくか、他校や他施設・場所への展示交渉、貸し出しなどの企画を小中学生や町の協力者とともに行います。

 

実施スケジュール例

 
実施内容
備 考
1回目
企画の説明 過去作品などもまじえて企画全体の概要を説明し、イメージしてもらう。
2回目
雲についての調査@ 自然現象としての雲
雲ができるメカニズムについて理解する。雲をつくる実験も行えたら行う。
理科教諭などへ雲という現象についての解説を依頼してもよい。
3回目
雲についての調査A 文化としての雲
文学や美術の分野などで雲がどのように語られ、表象されてきたかを調べる。時代による推移や他文化との相違について。現代アートとしてはオノ・ヨーコの作品など。
調査の際の核になる作品などについてある程度のヒントを用意。図書館や美術館での調べ学習。レポートの提出。
4回目
雲をつくる@ イメージスケッチ
それぞれ雲を描いてみる。イメージとしての雲らしさとはどのへんにあるのか。友達や町の人々にも描いてもらう。その類似点と相違点は?
本企画について町などへのアピールの下準備開始。
5回目
雲をつくるA 模型の制作
さまざまな材料を使い、最終的に制作する予定の5メートル程度の雲の模型を制作する。
模型材料の用意。
6回目
雲をつくるB 業者への発注
バルーン業者とのやりとりを可能な限り体験し、産業社会のしくみについて実地に学ぶとともに、自らで制作しないアートのあり方があることもあわせて学ぶ。
バルーン業者の選定、交渉。
7回目
雲を展示する@ 展示場所の調査
展示にふさわしい場所を選定、展示に許可は必要かなどについて調べる。必要ならば手続きをとる。
必要な許可の申請。
8回目
雲を展示するA 町の人への説明
自分たちの選んだ展示場所に雲を浮かべることについて、町の人へ説明を行う。協力の要請や鑑賞への宣伝。その他助言などを吸い上げ、展示にいかす。
展示場所の住民組織や商店街、商工会などに話を通しておく。
9回目
雲を展示するB 雲を浮かべる
天候などに注意しながら、自分たちのつくった雲を、町の協力者とともに実際に浮かべる。鑑賞者へ作品説明などを行う。
ヘリウムガスの手配。
10回目
雲を輸出する
制作した雲を将来的にどのように使っていくか、他校や他施設・場所への展示交渉、貸し出しなどの企画を行う
アートの発表を取り巻く状況や他地域の状況について調べることなどを示唆する。

 

 

 


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