戸倉上山田びじゅつ中学校 出展プラン

「中学校に虹をかけよう」 
"Yarn Rainbow over Junior High School"

 

戸倉上山田びじゅつ中学校
2004/10/9-10
長野県千曲市立戸倉上山田中学校
長野県千曲市大字戸倉2500
問合せ:026−284−6604
pikapika@avis.ne.jp


 

作品コンセプト

2004/7/31作成

 私は毛糸をさまざまな場所に結ぶというインスタレーションをつくっていますが、これは毛糸を結ぶようにして人々の心を結びたい、という一編の詩を読んで、それをひゆ表現としてではなく、ひとつの「指示」として従ってみようと思ったことがきっかけです。詩を書いたのは、オウム真理教による坂本弁護士一家殺害事件で殺害された坂本都子(さとこ)さん。詩には、その死が明らかになった後、友人らによって曲がつけられ、CDとなりました(こちら)。 場所は離れているとはいえ、こうして松本サリン事件の起こった同じ長野県内で毛糸の展示を行うことになったのには、何かひとつの縁があるように思いたくもなります。そしてその一方で、それは単なる偶然であるとも。そしてさらに言うならば、こうした意味とその意味への躊躇とが、私のこの作品の中を流れるものであるように思います。
  毛糸、あるいは糸は、「運命の赤い毛糸」や「かあさんの歌」(「かあさんが夜なべをして…」)、「導きの糸」や「記憶の糸」「(裏で)糸を引く」に見られるように、文化的な物語・意味をもつ「ことば」としてあります。そしてそれは、坂本さんが人の心を結ぶようにして毛糸を結びたいと願った「関係性」についても同じように当てはまります。すなわち、人との関係、ご縁は大切なもの、人とつながっているということはあたたかなものであり、社会の絆はとても重要なものである、といったような。
  しかし毛糸や糸がそのような文脈をもつ一方で、それは毛やアクリルを染色し、よったりつむいでできた素材、つまりは「もの」としてあり、セーターやマフラーを編む材料でもあれば、私がアート作品として利用する材料でもあるように、人と人との関係性というものも、「純粋に」文脈を無視してみるならば、都子さんが、夫の仕事の関係上、そこに巻き込まれてオウム真理教により殺害されることになったということも、ひとつの「関係性」ではあるわけです。つまり、関係性という事態自体はどんな価値をも含んではおらず、それは人間の自然に属する、人間にとってはその存在と不可分な状況のことである、といったように。
  物語や意味を生み出すのも人間であるなら、それを否定するのも人間であるわけで、いずれにかかわらず、それらは人間的な事象、その自然に属すること、つまりは同じもののちがう像なのだと思います。だから私はそのどちらが正しいのか、といったものとしてそれをとらえることを、間違いだと思います。しかし、だからといってそこから先、どう踏み出してよいやらわからずにいるというのが正直なところです。それが先に述べた、「意味と、その意味への躊躇」ということです。私はこの作品をつくりながら、そうしたことを考え、その考えをもう少し前に進められればと願っています。

 

 

 

 

 

出展作品内容・設置場所

内容(名称)
設置場所
@中学校に毛糸の虹をかける
(1)あらかじめ毛糸の虹をかけておく
(2)訪れた人に虹をかけてもらう
・中校舎にある2年生の教室を中心とした2・3階の教室の使用可能なベランダ、南校舎と中校舎を結ぶ2階通路ベランダ、1階中庭
・1年6組べランダから校庭方面
A毛糸をのばす/毛糸をたどる(毛糸の移動) 校門から出発、校庭、廊下や階段など展示(移動)可能な場所。
B教室でのインスタレーション"Yarn in the Classroom" 1年6組教室
Cアンケート/インタビュー Bの教室内および掲示できるいろいろな場所。Aの展示とともに。

 

 

展示プラン詳細

@中学校に毛糸の虹をかける


(1)中校舎にある2年生の教室を中心とした2・3階の教室の使用可能なベランダ、中校舎と南校舎の間の渡り廊下、1階中庭を毛糸で結ぶ。また、1年6組から校庭方面へと私が毛糸を結ぶ(上図参照)。
(2)訪れた人に毛糸を投げることで、虹をかけてもらう。毛糸を投げる場所および方向は、
T.南校舎と中校舎を結ぶ2階渡り廊下ベランダから1階中庭方面
U.1年6組ベランダから校庭方面
上の二ヶ所にバケツか何かに入った毛糸玉を多数設置する。バケツには以下のような「虹かけマニュアル」が設置されている。また、係の者がいればその説明をする。
まずベランダの手すりに毛糸玉のはじを結んでもらい、それから毛糸玉を投げてもらう。投げられた毛糸玉を、私や係の者がときおり1階にある木や何かに結びに行く。
また、その写真を撮ったり、FMラジオ(宮沢さん)に実況中継をしてもらう、など。雨天の場合にも行う(もしかしたらそのあとホンモノの虹がかかるかもしれない)。

 

 

 

 

 

↑南校舎〜中校舎へのわたり廊下(2階)イメージ→

↑3階2-4教室ベランダより1階を見る

 

 

A毛糸をのばす/毛糸をたどる
校門付近に最初の毛糸を結んでおき、その近くに毛糸とはさみの入ったバケツか何かを置いておく。バケツには、「自分の身長ほどの好きな色の毛糸を切り取り、好きな方向へとつないでください」といった指示がはられている。訪れた人はその指示にしたがって身長分の毛糸を結び、そうすることで毛糸は校庭や廊下、階段など展示(移動)可能な場所をのびていく。いったいどこへたどり着くのか、誰も知らない。
ある程度の長さになったら、つながれた毛糸のところどころに、「毛糸をたどってください」「毛糸をつないでください」といった指示カードを置いていく。
毛糸の進んだ道のりは、このアートワークに参加した人の身長の和であるとともに、訪れた人が目指したものの和(輪)でもある。

 

B1年6組教室でのインスタレーション
 "Yarn in Classroom"
通常並べられているように机を配置し、これを毛糸で結ぶ。蜘蛛の巣(ウェブ)や、蚕のまゆのような感じに。ベランダでは毛糸投げをするので、ベランダへ出られるように。
教室のどこかにCDプレーヤーを置き、毛糸の展示のきっかけとなった曲「SATOKO」をヘッドフォンで聴けるようにする。

 

 

Cアンケート/インタビュー
「毛糸についてあなたはどんなイメージをもっていますか。また、日本語には毛糸についてどのようなイメージや言い回し、物語があるでしょうか」「赤という色から、あなたは何を連想しますか。また、日本語には赤い炉についてどのようなイメージや意味があるでしょうか」といった、ある種メッセージを含んだアンケートを、Bの教室のほか、掲示できるいろいろな場所にはる。カード大で、カード大のビニールに入っており、そこから取り出して回答を書き込み、再びもとに戻すことができる。回答後はそれも新たな展示になる。すでに回答してもらっているものも例として展示する。

 


 

とがびプロジェクト(展示のようす)

つなぐこと 結ぶこと

yarn project

home

関連リンク

SATOKO

戸倉上山田びじゅつ中学校

信州戸倉上山田温泉公式HP